店主の「みんなの居場所に」という想いの通り、古民家をリノベーションした木の温もりを感じられる店内で、大人も子どもも本に囲まれながら思い思いにゆっくり過ごせるブックカフェです。みんなで学んだり愉しめるイベントも不定期に開催されています。
みんなの居場所になる店内の様子

本とカフェをベースにして一箱本棚主制度とその本の無料貸し出し、また場所貸しも行っています。
新書コーナー


新書コーナーを彩るのは、オーナー店主・岩崎さんが心を込めてセレクトした本たちです。
元幼稚園教諭という経験から、コーナーにはあたたかい絵本が豊富に並びます。「大人の絵本」が話題になっているように、大人も愉しめるような絵本も充実しています。
また、悩んだ時に元気をくれる本や、そっと寄り添ってくれる本など、読む人の心に響く様々な書籍が取り揃えられています。
カフェエリア


店内では、訪れる人の目的に合わせてお席が選べます。
エントランス付近にはオープンなカウンター席が設けられており、ここでは店主の岩崎さんと本の話をしたり、日常のたわいのない会話を楽しむことができます。
一方、奥の壁向かいのカウンター席は、静かに読書に没頭したりボーッと過ごしたりと自分だけの世界に浸れる静かな空間になっています。
ドリンクを片手に、思い思いのスタイルで時間を過ごせるのが魅力的です。
また、カウンターでは、お店にご縁のあるお菓子店が作るクッキーも販売されています。ドリンクのお供に、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

一箱本棚コーナー

nicoさんの特徴の一つである、「一箱本棚」コーナーです。
これは、棚の一区画を借りて自分の好きな本を並べられるというユニークな仕組みです。
本棚のオーナー(本棚主)さんは、「自分の好き」を誰かと分かち合える喜びを、訪れた方は本棚主の頭の中を覗き見るように本を眺める面白さを体験できます。
お隣の焼津市から始まった一箱本棚主制度。全国的に広まりつつありますが、藤枝市ではこちらが初めてなのではないかと思います。
本棚全体からは、nicoさんに通じる優しさが感じられるのも魅力です。
本棚主は月額2,000円でなることができ、また、訪れた方は初回登録料300円のみで、この棚の本を無料で借りることも可能です。
貸しスペース
店内奥のゆとりあるスペースは、貸しスペースとしても活用されています。
ここでは、みんなで楽しく学べる勉強会から、心地よい音楽会、リフレッシュできるヨガなど、少人数での多様なイベントが不定期で開催されています。
イベントの開催情報は公式Instagramで適宜更新されてますので、気になる方はそちらをチェック。
ご自身でイベントを企画・開催したい方は、お気軽にお店へ相談してみてください。
利用料は、3時間2,500円。延長1時間500円となっています。(2025年10月現在)
優しさ溢れるオーナー店主さん

こちらが明るくて笑顔が素敵なオーナー店主の岩崎さん。
振り返ると仕事などで悩んだ時にいつもそばに本あり、誰かに相談するよりも本に手がかりを求めて、その時々で助けられたことがたくさんあったそうです。
本屋さんになるきっかけ
どこかもんもんと生きていた時に、三島にある絵本作家・えがしらみちこさんの絵本屋さんで「絵本屋さんができるまで」という冊子に出会い、「これだ。」と思ったことが始まり。
そしてある時、幼稚園の子供たちに「岩崎先生は何になりたいの」って言われた時に、それを思い出して「いやー、本屋さんかな。絵本屋さんになりたいな。なれるかなぁ。」って子供たちに聞いたのだそう。
そしたら「なれるよ、なれるよ!」と子供たちが言ってくれた。
だから「じゃあちょっと先生頑張ってみるわ、本屋さんができた時にはみんな来てね。」と、
子供たちと約束したから本屋さん作らないとって思ったのがきっかけ、となったそうです。
その子供たちは、お店の作るときに小学校一年生になっていましたが、岩崎さんが連絡すると子供たち全員が集まってくれました。
そして、壁づくりの際に手でチョップして模様をつけて、お店作りに貢献してくれたそうです。

どんなお店にしようと思っていましたか?
岩崎さん:『みんなの居場所になってくれたらいいなと思ってたんです。
第一に、私みたく家の中でうーってうずくまってるような時、でもあんまり人とは会いたくないじゃん、みたいな時。
でも「あそこに行ったらちょっとほっとできるかもしれない。あそこに行ってみよう、本もあるし。」みたいな。
そう、「あそこなら行ける」っていうところを作りたかった。
不登校の子とかも来ればいいじゃんと思うし。
後は、やっぱりメンタルでちょっと落ちてる人や仕事で疲れてしまっている人とか。
そういった時にバーって来てくれたら嬉しいなって思う。
子供たちがすごくいい壁を作ってくれたので、本当はそこには本棚を置くつもりだったんですが、それをもう全部変えてあのテーブルを作って、自分と向き合える場所にしようって思ったり。』
色々な経験をされてきた岩崎さんだからこそ湧いてきた優しい想いが込められています。
いろいろなつながり
福祉事業所とのつながり


岩崎さんには障がいのあるお子さんがいます。
そのため、福祉に関わるハルモニアさん、遊笑舎さん、一如さん、といった事業所とつながりができました。
店内には、それらの事業所で障がいのある方が一生懸命につくられたお菓子、ブラックベリーリーフティーやトイレットペーパーなども販売されています。
「そうして繋がりたくて、繋がっていたくて。障害のある人たちが生きやすい世の中にしたい。本当にここが誰もが来れるみんなの居場所になってほしい。」と岩崎さんはお話されます。
店内を彩る作品

お店のきっかけになったえがしらみちこさんの絵、優しいタッチのmachiさんの絵、ヨシタケシンスケさんのふっと気持ちが軽くなるイラストなどが飾られています。
そしてなんと店舗を貸してくださっている家主さんご自身の作品もあります。
ご好意で贈ってくださったものだそうですが、どれがその作品かはお店で探してみてください。
支えてくれる方々
また、「開店前からもお店が始まってからも地域の人や来店された方が色々繋いでくださって今があるんです。」と岩崎さんはお話されていました。
岩崎さんの想いに呼応して周りで応援や支えてくれる人がいる、そんな素敵なお店です。
ふと思い立った時に、何でもない時に、お気軽に訪ねてみてください。


店名:本屋 nico
メニュー:コーヒー、ブラックベリーリーフティーほか
営業時間:平日|10:00-17:00、土曜|きまぐれ
定休日:日・祝日
住所:静岡県藤枝市本町1丁目1-3
駐車場:なし
座席:オープンカウンター・2席、壁向かいカウンター5席
公式Instagram:本屋nico


