お土産に重宝する「玉露娘」は、内閣総理大臣賞受賞と藤枝セレクション2024を受賞。いつもの和菓子から茶道で使われる上生菓子まで幅広い品ぞろえでお客様を楽しませてくれます。
いつもの和菓子と茶道の上生菓子
1947 年(昭和22年)創業、藤枝市岡部町で3代続く御菓子處「桜屋」。
店内は和菓子屋さんとしては大きめ。レジに近い陳列ケースには出来立てのお団子やおまんじゅうなどの生菓子が並び、ご近所の方がよく買われて行きます。
その奥には、茶道で主に使われる上生菓子が色とりどり華やかに並んでいます。和菓子屋さんの中でも、この上生菓子を扱われているお店は少なくなっているのではないでしょうか。技術と感性が必要とされ、それに手間がかかるお菓子です。
桜屋さんでは、今も常時10種類ほどこの上生菓子を取りそろえるようにされているそうです。
現3代目のご主人・櫻井英行さんは、子供の頃から絵を書くことが好きで、その後に石川県金沢市の美術大学を卒業されて和菓子の道に入ったそうです。
和菓子にその感性が現れていますし、何より毎日のお菓子作りを楽しまれていることをご主人がお話しされていました。
藤枝市岡部町のお土産品「玉露娘」
藤枝市岡部町がまだ合併前の岡部市だった頃、2代目であるお父様が岡部の特産品をとの思いから、岡部(朝比奈地区)の名産である玉露茶葉を使用したお菓子を生み出しました。
そのレシピであった材料の微妙な配分を若き3代目がお父様に内緒でこっそりと変えます。その後にこのお菓子は、第23回全国菓子大博覧会(1998年)で内閣総理大臣賞を受賞しました。
そしてまた、近年に玉露の配分を増やしてお茶の風味がより濃厚になった「玉露娘」は、2024年藤枝セレクションに認定されました。
しっとりとした生地に玉露が練りこまれ、きめ細やかで舌触りの良いこしあんを包んでいます。適度な甘さですので幅広い方に喜ばれています。
3代目からのバトンの行方
初代である御祖父様は、学校を卒業するとすぐにお菓子の世界へ。一時、戦争でお菓子作りは中断されます。その際、ガダルカナル島に近いパプアニューギニアのラバウルまで赴いていたそうですが、終戦間際に幸いにも無事に帰国することができました。終戦後、間もなく桜屋の創業となりました。
御祖父様は、和菓子、洋菓子、パン、飴細工、となんでも取り組んで腕を磨き、その地域では名をはせるようになりました。他界する少し前まで仕事場に立とうとされ、本当にお菓子が好きで、仕事も好きだったそうです。
そして、藤枝市岡部の名産を生み出した2代目であるお父様、その全てを受け継ぎながら発展を続ける現3代目。しかし、現在、跡継ぎがいないそうなのです。
ここまで積み重なり、受け継がれてきた和菓子の技術やレシピが途絶えてしまうのは寂しいとご主人は言われています。それなので現在、レシピを受け継いでくれる方をゆるりと探されているそうです。
弟子を取れるほどの余裕はないとのことですが、興味のある方がいらしたら問い合わせを受け付けているそうです。
最近は、国外の方でも日本の伝統文化に興味を持って来日して修行される方もおられますので、国内外関わらず意思のある方がいてくれたら嬉しいですね。
和菓子も日本の伝統文化の一つ、それを作れる職人さんが後世にも続いてもらえたらと、勝手ながら願っています。
店名:御菓子處 桜屋
商品:玉露娘216円、みそまんじゅう118円、あんだんご129円、他
営業時間:8:30~18:30
定休日:月曜
電話:054-667-0115
住所:静岡県藤枝市岡部町内谷943-1
駐車場:店舗前4台