そして静岡に住んでいると、一度は耳にする名前――久能山東照宮。駿河湾を望む久能山の山中に鎮座するこの神社は、「徳川家康公が最初に祀られた場所」として知られる、かなり特別な存在です。
前回は日光東照宮。今回はこの久能山東照宮のご紹介になります〜

久能山東照宮の概要
久能山東照宮(くのうざんとうしょうぐう)は、静岡市駿河区、久能山の南斜面に鎮座する神社です。主祭神は徳川家康。全国に数多くある東照宮の中でも、ここは「最初の東照宮」という立ち位置になります。
立地がとにかく特徴的で、山の上にあるにもかかわらず、目の前には駿河湾が広がるというロケーション。晴れた日には海の青と社殿の極彩色が見事に映えて、ちょっとした非日常感を味わえます。
アクセス方法は大きく分けて二つ。ひとつは1159段ある石段をひたすら登るルート。もうひとつは日本平からロープウェイで下ってくるルートです。体力や旅のスタイルに合わせて選べるのも、久能山東照宮ならではですね。
もちろん僕は階段から行きましたよ!
日光でもそうでしたが最近やたらと長い階段を登ってます笑

久能山と徳川家康の深い関係
久能山東照宮を語るうえで欠かせないのが、徳川家康との関係です。それゃそうだ💦
元和2年(1616年)、家康は駿府城で75年の生涯を終えました。その際、遺言として「遺体は久能山に葬り、神として祀ってほしい」と命じたと伝えられています。こうして、家康の遺骸は久能山に埋葬され、ここに東照宮が創建されることになります。
つまり、久能山東照宮は「家康が眠った場所」であり、「神・東照大権現としてのスタート地点」でもあるわけです。後に日光東照宮が整備され、そちらの方が圧倒的に有名になりますが、歴史の順番で言えば、久能山が先。ここを知ると、東照宮という存在がぐっと立体的に見えてきます。
創建と社殿の特徴
久能山東照宮の社殿は、二代将軍・徳川秀忠の命により造営されました。工期はわずか1年半ほどとされ、当時としては驚くほどのスピードだったと言われています。
社殿の様式は「権現造(ごんげんづくり)」。本殿・拝殿・石の間が一体となった構造で、後の日光東照宮にも受け継がれていくスタイルです。極彩色の彫刻や装飾がふんだんに施されており、「これぞ東照宮」というイメージの原型が、すでにここで完成しています。

日光東照宮に行った後だったので、何となく似てるなぁ〜なんて思いながら回りました。
なお、久能山東照宮の社殿は国宝に指定されています。山中にこれだけ豪華な建築が残っていると思うと、それだけでちょっとワクワクしませんか。
石段から始まる参拝体験
久能山東照宮といえば、やはり石段。表参道にあたる石段は、全部で1159段あります。
正直に言うと、なかなかキツいです。僕が言ったのは12月。夏だったらアウトですね。一段一段登っていくうちに、日常から切り離されていく感じというのでしょうか。木々に囲まれた山道を黙々と進む時間は、ちょっとした修行のようでもあります。
途中にはベンチや踊り場もあり、無理せず休みながら登れるので安心してください。「全部登りきったぞ……」という達成感は、かなり大きめです。
体力に自信がない人や観光メインの人は、日本平ロープウェイを使うのもおすすめ。上から下へ向かう形になるので、景色を楽しみながら、わりと気楽に境内へ入れます。このロープウェイまだ乗った事ないんです😭


境内の見どころ案内
ここからは、実際に境内を歩きながら見ていきたいポイントを順番に紹介します。

神厩

五重塔跡
楼門
境内に入ってまず目に入るのが、鮮やかな朱色の楼門です。装飾は非常に細かく、彫刻一つひとつに意味が込められています。ここで足を止めて、ぐるっと見回してみるのがおすすめ。急いで通り抜けるのは、ちょっともったいないです。
↓奥に見えるのが楼門。

拝殿・本殿
楼門を抜けると、拝殿、そして本殿が現れます。金箔や極彩色がふんだんに使われていて、山の中とは思えないほどの華やかさ。日光東照宮と比べると規模は小さいものの、その分、細部をじっくり観察しやすい印象です。
彫刻や装飾を見ていると、「権力の象徴としての神社」という側面も強く感じられます。家康という人物が、いかに特別な存在として祀られたかが、建築そのものから伝わってきます。

神廟(しんびょう)
本殿の奥に進むと、徳川家康の墓所である神廟があります。派手な装飾は控えめで、全体的に静かで厳かな雰囲気。
ここに立つと、「観光地」というより「聖地」という言葉の方がしっくりくるかもしれません。山の空気も相まって、自然と背筋が伸びる場所です。


博物館(久能山東照宮博物館)
久能山には博物館も併設されています。徳川家康ゆかりの品々や、歴代将軍に関する資料が展示されており、歴史好きならかなり楽しめる内容のはず!・・・僕は入ってません。
社殿を見たあとに立ち寄ると、「なるほど、だからこういう造りなんだな」と理解が深まると思うので、時間があればぜひ。

日光東照宮との違い
久能山東照宮と日光東照宮は、同じ「東照宮」でも性格はかなり異なります。まず大きな違いは立ち位置です。久能山東照宮は徳川家康が亡くなった直後、最初に祀られた場所で、いわば“原点”。一方の日光東照宮は、三代将軍・家光が祖父である家康をより大きな存在として祀るために大改修した、完成形とも言える東照宮です。
規模や華やかさも対照的です。日光は広大な敷地に数多くの社殿が並び、彫刻や装飾も圧倒的。一種のテーマパークのような迫力があります。それに対して久能山は、規模は控えめながら、山と海に挟まれた立地もあり、どこか静かで引き締まった印象を受けます。
また、久能山には家康の墓所が実際に残っている点も重要です。「祀られている場所」という実感は、久能山の方が強いかもしれません。派手さの日光、原点と静けさの久能山。両方を訪れると、東照宮という存在の奥行きがよく分かります。
おわりに
久能山東照宮は、「歴史的に重要」と聞くと少し堅苦しく感じるかもしれませんが、実際に行ってみると、意外と感覚的に楽しめる場所です。石段のきつさ、社殿の華やかさ、神廟の静けさ、そして海を望む景色。その全部が合わさって、ここにしかない体験になります。
静岡に来たことがある人も、何度も通り過ぎている人も、一度じっくり時間を取って訪れてみてください。きっと、「ああ、ここは特別だな」と感じられるはずです。
ガンプラ
ちょっと話はそれますが、おまけ的な情報として家康のガンプラが展示されていますよ〜
プラモデルといえば静岡ですからね、めちゃくちゃカッコイイガンプラ家康バージョンを見ることができます。本殿に上がる手前に設置されています。



